東京のテニスコートを考える

 突然ですがテニスの将来を考えてみた。東京のテニス場は減少傾向にある。テニス人口もこの10年で3分の2まで減っている。その理由は単にテニスの浮き沈みではなく、レジャーの多様化、リラックスを求める休日志向、短時間のフィットネスとしてのスポーツジムの隆盛などが挙げられる。確かにテニスを習うには覚悟が要るかもしれない。ボーリングやランニングのように今日始めて直ぐに楽しめるものではない。相手があり、先ずはサーブを受けて打ち返さなければ始まらない。相手に迷惑が掛からないようになるまでに最低でも2~3か月掛るのでは。普段スマホゲームで即楽しんでいるZ世代にとっても上達にはかなりの練習期間が必要だろう。

 不動産高騰の時代、都心のテニスコートを維持することは経営者にとっても深刻。マンション経営への転身や土地売却が後を絶たない。持ち堪えているテニス場や会員制クラブは高齢化が進み、若者が入りにくい環境になっている現状もある。更に、高齢プレイヤーは長年のテニス歴(多くは学生時代から継続)からくる膝や腕の神経痛や怪我に悩まされている事が多い。親睦会で若者と試合をすると自分の力の限界を感じ、高齢者にとってテニスと付き合う未来は決して明るくないのだ。  このままではテニスが身体能力の長けたアスリート専門のスポーツになる恐れが。テレビなどでプロが活躍する「見るスポーツ」になってしまう。それはまずい。

 そこで私考えました。「勝敗を決めないテニス」を創設しては。スカッシュのようにお一人様でも出来る「壁打ちテニス」の復活を望む。現在東京のテニスコートで壁打ち設備がある所はほとんど無い。以前国立競技場の横にあったが、いつの間にか消えていた。今こそ派手に復活させたい。ヒントは日本でも最近人気のエアロ・バイク・エクササイズ。フィットネスジムのスタジオをクラブ的なLEDライトやミラーボール照明、DJで盛り上げているアレです。あの乗りで「フィットネス・テニス2024」として変身しては!壁打ちなら1人でも2人でも出来て敷居も低い。勝敗が無く気楽。洒落た音楽や照明で気分高揚。室内であれば近所迷惑もない。(テニスコートの多くは住宅地にあり騒音クレームが多い。)雨の仕事帰りも使用できる。見学者はコートサイドでお酒も。かつてのビリヤード台が置かれていたプールバーのように話題になるに違いない。恋も芽生える。言うこと無しです。

 その先に本格テニスを目指す若者も当然出て来る。日本のテニス界にとっていいに決まっている。スポンサーの皆さんもプロテニストーナメントに賞金出すなら、こっちにお願いします!

 

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■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

 

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