【ロサンゼルス11日】米国航空宇宙局(NASA)のひとつの研究機関であるジェット推進研究所(JPL)は2月7日、約530人の職員と40人のコントラクター(請負業者)を一斉解雇した。JPLには職員が約6000人いたため、この一斉解雇は全職員の約8%に影響を与えたことになる。これは米エンジニア業界で大きな話題となっている。
NASA長官のBill Nelson氏は「2023年10月1日から始まった2024年度の予算が議会で可決されていないため、この決定は必要である。最終的な法案がない状態でそれ以上の金額を使うことは懸命でない」と述べた。またJPL所長であるLaurie Leshin氏は「JPLの状態は緊急だ。NASAの予算配分が低く、議会から2024年会計年度への配分が欠如しているため、支出を削減するためレイオフを余儀なくされた」と公式声明で発表した。
今回の一斉解雇の引き金となったのは火星サンプルリターンミッション(MSR)の支出超過であった。MSRとは、すでに火星にうちあがった探査機が採取したサンプルを、地球に持ち帰るミッションのことだ。このミッションは現在大幅に縮小されており、今後の先行きは不透明である。
2月7日、JPL職員は全員自宅待機を命じられ、部門ごとにリモート全体会議がおこなわれたあと、個別にレイオフの対象か否かを通達された。通達された者は数時間以内にすべてのアクセスを失った。
JPLは1936年にカリフォルニア工科大学(Caltech)がつくった研究機関であるが、その後CaltechとNASAが契約して、Caltechが管理しているNASA研究機関となっている。JPLはおもに科学者(サイエンティスト)とエンジニアから構成されているが、今回一斉解雇の対象となったのはエンジニアであった。またJPLは新しい雇用も凍結している。