正月用のライトアップをしている東京タワーに行ってきた。東京タワーにはこの所続けて行っている。普段高速道路を利用する度に昼夜問わず車窓から目に入るが毎回ホッとした気持ちになる。昼の姿も良いが、夕暮れのライトアップされた佇まいはため息が出るほど美しい。桜の季節姿も素敵だが、凍てつく真冬の空気の中にそびえ建つタワーも最高。
何故これ程まで東京タワーに魅了されるのか。きっとタワーの歴史が自分の成長とリンクしているからでは。昭和32年建設途中、私は8歳だった。成長していく雄姿が見たかったが自宅に自転車が無いため貸自転車屋さんで2時間20円で借り、毎月のように20分かけて芝公園に行った。良き思い出…建設現場の足場が今と違って丸太で組んであり、鳶職の職人さんは地下足袋を履き大声を出して働いている。パリのエッフェル塔を超える世界一の電波塔を作る気合が満ち、少し離れた場所から見ているこちらにも熱い思いは伝わってくる。いつも自宅への帰り道を幸せ気分にしてくれる。急いで帰らないと追加料金が。
東京タワー大好き男だが、実は暫く展望台に上っていなかった。先日久しぶりに行ってみてビックリ!イメージが一変していた。昭和の頃の面影はなく、室内は黒を基準とした近未来的に。ミラーを多用し照明を使った演出が宇宙船の中に居るようだった。足がすくむのが、メインデッキにある「スカイウォークウインドウ」。名前の通り空を歩いているかのようになるシースルーの床!これは怖い。リニューアルされた特別展望台は東京ディズニーランドのミステリーツアーのような企画で楽しませてくれる。懐かしいだけでは無く、令和の魅力が満載なのだ。それは入場者数にも表れている。海外からの観光客もコロナ騒動以前に戻った。
一番ビックリなのは、展望台から見た東京の風景が(昭和の頃とは)激変していたことだ。タワーを囲むように高層ビルが乱立。間近には話題の麻布台ヒルズ。300メートルの巨大さで、恐らく最上階近くにも部屋があるはず。ちょっと複雑な気分になった。しかし東京タワーの魅力は決して色褪せない。高速の環状線を走っているとスカイツリー(634メートル)も見ることがあるが、私の世代はやっぱり青春時代を一緒に過ごした東京タワーに魅力を感じてしまう。電波塔としての使命はスカイツリーに譲るが、来日観光客に聞く「日本で行ってみたい所は?」の質問に、富士山、京都に続く人気スポットとしてブランド力は絶大。
どうですか、東京タワー上ってみて下さい、元気出ますよ!
■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。