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アメリカ101 第203回
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トップはプリンストン大学で、2位がMIT(マサチューセッツ工科大学)、そして3位が同率でハーバード、スタンフォード両大学というのが、9月に新学年度入りしたアメリカでの大学ランキングのトップスリーです。毎年大きな関心を集めるニュース週刊誌「USニュース・アンド・ワールド・リポート」(以下「USニュース」と略称)による最新データに基づく順位で、その最新版が9月18日に発表となりました。
ニュージャージー州プリンストンにキャンパスがあるプリンストン大学が13年連続で首位の座を維持したほか、上位はすべて私立大学が占め、公立大学では、カリフォルニア大学バークリー校(UCバークリー)、同大学ロサンゼルス校(UCLA)が同率の15位という結果で、少なくともランキングという面では私立大学優位というアメリカでの大学事情を改めて示す結果です。
「USニュース」誌は、一時は「タイム」「ニューズウィーク」に次ぐ発行部数で、長年3大ニュース週刊誌の一角を占めていたのですが、近年では印刷媒体からオンライン雑誌に移行し、現在では、1983年以来、毎年秋に印刷媒体で刊行する「大学ランキング特集号」で知られています。
この大学ランキングは、①卒業比率 ②奨学金受領比率 ③教員給与 ④学生/教員比率 ⑤入学難易度などを基準に、全米1500の高等教育機関のランクアップをしたもの。National University(全米規模大学)、リベラルアーツ・カレッジ、Regional University(地方大学)、Regional College(地域カレッジ)の4部類の大学について、それぞれのランキングを格付けしており、現在では大学志願者やその父兄にとって不可欠の“参考書”として重宝されています。しかし、同時にランク付けの基準に関する資料の不備や、大学側からの提供資料が恣意的だとの指摘もあり、その信頼性についての議論が続いています。
2023ー2024年度版では、National University部門では、プリンストンに続いて、2位がMIT、ハーバードとスタンフォードが同率3位、以下、イェール、ペンシルベニア、7位がカリフォルニア工科大学(Caltech)とデューク、9位がブラウン、ジョンズ・ホプキンズ、ノースウェスタンです。 一方リベラルアーツ・カレッジ部門では、トップはウィリアムズ・カレッジで、以下は2位アマースト、3位海軍士官学校、4位同率ポモナ、スワスモア、ウェルズリー、7位空軍士官学校、8位陸軍士官学校、9位同率ボウディン、カールトンとなっています。
一部の有名大学のうち、大幅にランクを下げた大学があります。その好例が、経済学で「シカゴ学派」と呼ばれるほど著名な経済学者を数多く輩出してきたシカゴ大学です。昨年のランキングでは6位だったものがことしは12位に急落したほか、アイビーリーグに属するダートマス大学が12位から18位に、セントルイスにあるワシントン大学が15位から24位に下がっています。さらにユダヤ人の学生が多いブランダイス大学が44位から60位に落ち込んだのが目立ちます。これは、今年のランキングでは、算定基準のち、全体の8%を占めていた「少数学生クラス」部門が廃止された結果、少数クラスを誇ってきたエリート大学にマイナスとなったためとみられています。また卒業生(OB)からの寄付金規模や高校での学業成績といった基準も今回から廃止されたことも影響しているようです。このために、公立大学のランクが全般に上昇したようです。
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著者/ 佐藤成文(さとう しげふみ)
通称:セイブン
1940年東京出身。早稲田大学政治経済部政治学科卒。時事通信社入社、海外勤務と外信部勤務を繰り返す。サイゴン(現ホーチミン市)、カイロ、ベイルート、ワシントン、ニューヨーク、ロサンゼルス各支局長を歴任し、2000年定年退社。現在フリーランスのジャーナリストとしてロサンゼルス在住。
(9/26/2023)