今年の感謝祭は出費増、食品価格が9.5%~10.5%上昇(11/16)

【ロサンゼルス16日】今年の感謝祭は、七面鳥、ポテト、スタッフィング、カボチャの缶詰などの食品の価格が平均9.5%~10.5%上昇すると予測され、出費が多くなりそうだ。過去のデータからみると、食品価格の年間上昇率は通常2%に過ぎない。

 食品価格上昇の理由には、生産量の減少や、人件費、輸送費、商品自体のコストアップなどが挙げられ、鳥インフルエンザなどの病気や悪天候、ウクライナ戦争も一因になっている。

 特に七面鳥は、鳥インフルエンザの影響を受けて卸売価格が過去最高値に達している。米疾病対策センターによると、2月にインディアナ州の七面鳥農家で初めて、特に致死性の高い鳥インフルエンザが報告されて以来、46州で4,900万羽の七面鳥やその他の家禽が全滅した。アーカンソー州ジョーンズボロに本社を置く「Leap Market Analytics社」のエグゼクティブ・ディレクター、マーク・ジョーダン氏は、「その結果、米国の一人当たりの七面鳥供給量は1986年以来最低の水準にある」と説明。ジョーダン氏は、感謝祭によく購入される重さ8~16ポンドの冷凍七面鳥の卸売価格が、今月中に前年同月比28%増の1ポンドあたり1.77ドルに達すると予想している。

 鳥インフルエンザはまた、卵の価格も記録的な高値に押し上げた。米国農務省によると、11月の第2週、グレードAの卵1ダースは平均2.28ドルで販売され、前年の2倍以上の価格となった。ただ、鶏のエサであるトウモロコシの主要輸出国であるウクライナで戦争が起きたことから、トウモロコシの供給が途絶え世界的に価格が高騰しており、鳥インフルエンザがなかったとしても卵の価格は上昇していたと思われる。

 一方で、すべての生産者が同じように影響を受けているわけではない。感謝祭の七面鳥の約3分の1を供給する「Butterball」は、前回2015年の鳥インフルエンザ大流行後に安全対策を実施しており、これにより今年の鳥インフルエンザによる影響は生産量の約1%にとどまったという。

 その他の価格は、昨年比でカボチャの缶詰が17%、スタッフィングが14%上昇しており、ラセットポテトの5ポンド袋は11月第2週の平均で3.26ドル、つまり前年より45.5%高くなっている。また、「Whole Foods」は今年、8人分の伝統的な感謝祭の食事セットを179.99ドルで販売しており、これは昨年の価格より40ドルも高くなっている。

 一方で、「Walmart」は七面鳥を1ポンドあたり1ドル以下で販売し、ハム、ポテト、スタッフィングを昨年と同じ値段で販売すると公言。「Kroger」と「Lidl」も、10人分の食事で一人当たり5ドル以下を目指すといい、「Aldi」は価格を2019年の水準に戻しており、比較的安い店を選ぶことである程度の節約はできそうだ。

 また、経済アナリストからは、今年の感謝祭は家庭で料理するよりも、レストランで外食する方が相対的に得かもしれないと分析する声も出ている。レストランの価格も上昇しているが、その上昇のペースは緩やかで、2021年11月から2022年8月にかけて、食料品店やスーパーマーケットの食品が10%近く高騰したのに比べ、レストランなどの業者の食費の上昇率は5.8%にとどまっている。

 

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