小澤奈緒美: 音楽を通じて共鳴し合えるコミュニティづくり

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小澤奈緒美   
Naomi Ozawa

音楽家

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ロサンゼルス在住、音楽家としてオーケストラやバンドにて演奏活動を行うほか、後進への音楽教育にも力を注ぐ小澤奈緒美さん。東日本震災支援プロジェクト『Send Loveto Japan』と共に誕生したNPO チューリップインハーモニーでも定期的にコンサートを開催する。
https://www.naomiozawa.com/

ロサンゼルスをベースに音楽家として、音楽の指導やローカルでの演奏活動を行う小澤奈緒美さん。特にこの20年間は、子育てをしながら若手への音楽指導に力を注ぎ、音楽大学へ進んだ生徒もいる。子育ても落ち着いた今、少しずつ演奏家としての活動を広げていきたいと話す。「音楽でよく引き合いに出される数字として、日本は1000人に1人がクラシックを聴くといわれます。私は、この社会で、音楽を楽しむ人が1000人に1人でも2人でも増えればと思うんです。そのためには、肩肘張らずに誰もが音楽を楽しめる場を作っていくことが大切。それがずっと自分がやりたかったことです」

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ハンティングトンビーチシンフォニーでの演奏(2022年6月)

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静岡県浜松市出身。幼稚園の友達がピアノを習っているのをみて自分も習いたいと親に言ったところ「古い習わしで、習い事を始めるのに良いとされる『6歳の6月』まで待ちなさい、と言われました。初レッスンの日は、待ち遠しくて時計とにらめっこしていたのを覚えています」 

 ピアノを続けながら小学5年の時にオーボエに興味を持ち始め、地元の学芸高校の音楽科に進んだ。「高校卒業後、希望の日本の音大に入れず進路に悩んでいた時、自分の出身高校でウィーン国立音楽大学の先生による公開レッスンが開かれて演奏に参加させていただいたんです。その時に『ウィーンで音楽を勉強してみては』といわれ、これは大きなチャンスだと思って飛び込みました」

 19歳でオーストリアに渡り、ウィーン国立音楽大にオーボエ専攻で入学した。「ドイツ語がゼロの状態で、初めは授業についていけなくて劣等生。音楽史や音楽理論のテストも口頭試験で、学校から帰るといつも疲労困憊でした」。大変な時期を乗り越え、大学在籍中から卒業後も、現地のオーケストラなどで演奏活動を行った。「音楽の都ウィーンは観光客向けに編成する楽団も多く、演奏の場がたくさんありました。ある楽団では、入ったその場で楽譜を見てすぐ弾かされるなんていう、まるでジェットコースターのような経験もしましたし、郊外の小さなオペレッタ劇場ではオペラ演奏にも挑戦。その時は自分の技術ではどうしても出ない音があって、悩み悩んだ経験も。“その
場しのぎ”という言葉も覚えました(笑)」

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ウィーン国立音楽大学のカウツキー先生による初めてのレッスン。写真右が小澤さん(当時19歳)

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ウィーンを後にし、ニューヨークで学位を取得後、結婚を機に2001年にLAへ移住。フリーランスの音楽家として、ローカルのオーケストラでの演奏や指導のほか、日本の震災被災地支援をはじめとしたチャリティ音楽プロジェクト『チューリップインハーモニー』(NPO)では定期的にコンサートを開催、最近では、作曲活動やジャズなど他ジャンルの演奏も開拓中だ。「音楽の素晴らしさって、音を通じて人々が共鳴できること。そんなひとときを過ごせるような、国境にもジャンルにも何物にもとらわれない、誰もが楽しめる音楽の場を作っていきたいですね」。

(8/16/2022)

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