YouTubeは ドンドン変化している

 

往年の大スター西郷輝彦が、日本では未承認のがんの最先端治療を受けるために、オーストラリア・シドニーに渡航した。74歳でYouTubeチャンネルも設立して「がんで悩んでいる人に、私がこの体で体験して伝えていきたい。」と、治療の様子を現地からレポートするという。診断されたのは去勢抵抗性前立腺がん。進行度はステージ4。2011年に前立腺がんを摘出、2017年に再発した時には、抗がん剤と放射線治療を受けた。2年前、雑誌の取材インタビューで私が会った時には、元気な姿を見せてくれていたのだが… それにしてもこれから再び闘病生活が始まるのに、自らYouTubeを立ち上げて全てを見せていくとは並大抵の決意ではない。

西郷輝彦と言えば日本の歌謡界が一番華やかな時代、橋幸夫、舟木一夫と並んで『御三家』と呼ばれるトップスターだった。あの当時ファンはスターのプライベートを知る由もなかった。せいぜい雑誌やテレビの芸能ニュースくらい、それもスターを盛り上げる記事しか紹介されず、スキャンダラスな写真誌も無かった。マイナス要素などご法度だった。そうなんです、私生活はベールに包まれていたのです。どんな家に住んでいるのか、どんなところで食事をして遊んでいるのか、まったく情報がない。今は正反対で、グーグルマップでどこに住んでいるのか直ぐに分かり、隠しようがない時代なのかもしれない。  西郷輝彦は一大決心したのだ!本来スターは夢を売る商売、あまりネガティブな印象になることを避けるものだが、同じ病気で苦しんでいる人の為になるならと。それもYouTubeで。高齢者ファンもこれで見方や使い方を覚えてくれれば嬉しいではないか!  

そして石田純一!コロナ騒動の最中沖縄にゴルフに行ったことが発覚し、世間からひんしゅくがかった事でテレビからお声が掛からなくなった中、最近YouTubeを開設した。『石田純一の!ナンデモお悩み相談所』という視聴者からの相談に答える、見事な企画だ。「不倫する男性を許せる女性がいるのが不思議です。」この問いかけに「僕は、相手が不倫しても許せると思います。自分に何か足りないものがあったのか、相手にもそれなりに訳があったのか。すべてを投げ出して許せない‼そうはならないです。」と、石田純一的答えが返ってくる。コンプライアンスなどで彼をテレビは使わないけど、実は仕事が無いながら頑張っている今の石田純一が面白いのだ!それを一番知っているのは本人。だから批判覚悟でYouTubeを立ち上げたのでは。高校生たちが自己表現のためにやるのと同じパワーで、西郷輝彦も石田純一も新しい世界にチャレンジしている!日本の中年オヤジ、たくましい!いいじゃないか!

 
 

■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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