映画やTVコマーシャル、TVシリーズ、ミュージックビデオ、バレエ団などの衣装スタイリスト・デザイン・製作を手がける見留小織さん。「毎回、そのプロジェクトに関われること、機会を与えられたことに感謝する」と話す(Webサイト:mitome-certifiedswag.com

編集: Weekly LALALA - 2019年10月16日
「パスの返し200%」
衣装スタイリスト/衣装製作
見留 小織
Saori Mitome

「中学生のころミュージックビデオを観て、お店で売っていない衣装に魅力を感じて手作りしてみたいと思った」。
そう語る見留小織さんは、衣装スタイリスト、衣装デザイナー、衣装製作としてロサンゼルスを拠点に活躍中だ。
主に映画の撮影、コマーシャル、TVシリーズやバンド用ミュージックビデオの衣装製作、劇場およびバレエ演劇の衣装製作を手がけている。
もともとの音楽・ファッション好きから衣装の分野に関心が向いたわけだが、アメリカ生活をする後押しとなったのは高校の交換留学。
兄の影響で洋楽を聴くようになり、「英語ができたらいいなあ」と思っていたこと、当時LAドジャースでプレーしていた野茂英雄選手をテレビで観て「日本人1人というのはいったいどんな感じなんだろう」という好奇心を抱いたことから異文化への興味が膨らんだ。
交換留学のステイ経験は深く心に残り、後に移住するきっかけとなった。
衣装の仕事については大好きなサッカーになぞらえてこう分析する。
「自分で作りあげるというよりは、チーム内で与えられた役をこなして全力でより良いものを作ろうとする。
常にどうやってアシストするか考えながら作業し、一つのゴールにみんなで向かっていく」。
スタイリストとしてなのか、あるいはデザイン・製作としてなのかによって衣装への携わり方はさまざまだ。
TVシリーズや長編映画では、監督から伝えられたイメージに対し、自分なりのストーリー解釈とそれをキャラクターにどう着せるかをプレゼンし、話し合いを重ねて最終的な形をまとめ上げる。
人の頭にあるコンセプトを用意するという作業はハードルが高い。
また、ミュージックビデオ用の作業は準備期間が非常に短いため、1から10のステップのうちどこをどう詰めるかを考え、臨機応変に調達、製作し、いかにゴールに合わせてもっていくかが成功の鍵となる。
関わり方が異なっても、自身の姿勢は変わらない。
自分のポジションを「言ってみれば、下がって守備に回ることもあれば攻撃も組み立てるボランチのような役割」と例える。
現場では唯一の日本人であることがほとんど。
しかし「締切を守るとか的確さで重宝されることは多い。パスの返しが200%だから」と自信をみせるように、日本人ならではの細やかさが活きているという。
時間との勝負を強いられても、プレッシャーに負けず「絶対できる」と自己暗示をかける。
「この仕事は一期一会。同じチームでまたやることはないしすべてが一発勝負。だからこそ全員で、一瞬一瞬を全力でやる」。
毎回、チームメイトと一つのゴールを目指すためフィールドに立っている。

TV用に製作した(XXXXXLARGE)5Extra Large ジャケット。衣装とはさまざまな関わり方をする(Instagram@mitome.wardrobe_styling)

今後は「音楽と洋服のコラボを見たいからミュージックビデオをメインにやりたい」という
関連記事:その他のロサンゼルスで暮らす人々
-
人の心を揺さぶる音楽の力 ドラマー 田辺 壮一郎 Soichiro Tanabe
2019年12月04日 ロサンゼルスで暮らす人々
LAでのセッションを中心にドラマーとして広く活動する田辺壮一郎さん。共演アーティストはグラミー賞ノミネートプロデューサーのRichard RudolphやAdam Berg、シンガーソングライターのMike Bauer、ジャズミュージシャンのCody Dearなど。 インスタグラムwww.instagram.com/souji_ichi/ https://souji-0719.wixsite.com/soichiro-tanabe
-
曲がりくねった道走りぬいた地球一周 自転車冒険家 出堀 良一 Yoshikazu Debori
2019年11月26日 ロサンゼルスで暮らす人々
115の国と地域、124,850km。10年と2日間をかけて自転車世界一周を果たした出堀良一さん。2011年東日本大震災発生時には、被災地を思い復興の力になりたいと日本へ戻ろうとしたが、日本の仲間が「君が旅を諦めないことが人々の勇気になるから決して帰るな」と言ってくれた厳しさが旅の原動力にもなった。写真のエチオピアでは少数民族との出会いもあった。ダサネチ族の少女と(2013年)。
-
ZEROになった今この瞬間 KENTO
2019年11月20日 ロサンゼルスで暮らす人々
KENTOの360度クリエイションによるエンターテイメントの世界。限界を超えた新たな挑戦が今はじまる。 KENTOインスタグラム:kento_km1
-
時代の流れに合わせてこつこつと 健康関連商品輸入販売会社社長 マイケル 木桧 Michael Kogure
2019年11月13日 ロサンゼルスで暮らす人々
社員約200名、アメリカ国内に7支店を構え、美容・健康をテーマに商品の企画開発・製造、卸売販売を行うU.S. JACLEAN, INC. Presidentのマイケル木桧さん。 U.S. JACLEANオフィシャルウェブサイト www.usjaclean.com
-
世界中の波に挑むサーフライフ プロサーファー 五十嵐 キアヌ Keanu Igarashi
2019年11月06日 ロサンゼルスで暮らす人々
2018/2019シーズンにNSSA (National Scholastic Surfing Association)総合ランキング1位を獲得した五十嵐キアヌ。ハンティントンビーチ生まれ育ちの17歳。今シーズンよりプロに転向