全米/ローカルニュース

編集: Weekly LALALA - 2019年08月09日

乱射事件後、売れる銃=練習する主婦も
規制進展見通せず

 

【8月9日 時事】テキサス州エルパソで3日に起きた銃乱射事件以降、地元住民が自衛のために相次いで銃を購入している。銃所持の権利が憲法で認められている米国では「銃の暴力には銃で身を守る」と考える人が少なくない。事件を受け、銃規制議論が再燃する中、トランプ大統領は銃購入者の身元調査厳格化に意欲を示したが、規制強化の見通しは不透明だ。

 

◇恐怖克服したい

 

 乱射事件は大型小売店ウォルマートで発生し、22人が死亡した。対メキシコ国境に接するエルパソはヒスパニック系が人口の8割以上を占める。容疑者は地元住民ではない白人の男で、中南米からの移民に対する憎悪を背景に犯行に及んだとみられている。
 

 ヒスパニックの主婦パティ・メンドザさん(42)は7日、警備員の夫と共にエルパソ市内の射撃練習場が併設された銃砲店に拳銃の練習に訪れた。拳銃は夫のものだが、メンドザさんはこれまで撃った経験がない。ただ、ヒスパニックを標的にしたとみられる事件が地元で発生し、「怖くなった。(撃ち方を)学んで、恐れを克服する必要があると思った」という。同店には事件をきっかけに仕事の合間に銃を買いに来たと話す男性もいた。
 

 米国では銃規制は州ごとに異なり、テキサス州では免許があれば、携行が認められている。メンドザさんは「銃を持っている人はたくさんいるのに、事件の日そういう人はどこにいたのかと思った。もしかしたら、銃を持っていたけど対抗するのが怖かったのかもしれない」と指摘。銃を持つ人が容疑者を止めていれば「英雄」になっていたとも語った。

 

■テキサス州エルパソの銃専門店

◇世論は二分

 

 今回の事件で使われた半自動小銃は、米国の乱射事件でよく使われる。半自動小銃による乱射事件で多数の犠牲者が出るたびに規制議論が再燃するが、共和党や規制強化に反対するロビー団体全米ライフル協会(NRA)の抵抗で実現していない。
 

 7月の公共ラジオ(NPR)などの世論調査によると、半自動小銃の販売禁止には57%が賛同し、反対の41%を上回った。一方、共和党支持層で賛成したのは29%にとどまり、民主党支持層の83%とは対照的だ。エルパソの事件後も民主党を中心に銃規制を求める声が強まっているが、トランプ氏は「政治的な機運はない」と断言する。
 

 一方、規制を求める声を受けてトランプ氏は7日、「精神的に不安定な人や憎悪に駆られた人、病んだ人に銃を渡すべきでない」と述べ、銃購入時の身元確認の厳格化には意欲を見せた。ただ、ワシントン・ポスト紙によると、NRA幹部は6日、身元確認の厳格化はトランプ氏の支持層には不人気だと指摘し、否定的な姿勢を示した。NRAは共和党議員を支援しており、実現は難航必至だ。 (エルパソ=テキサス州=時事)

■写真上:銃乱射事件の犠牲者を追悼する人々=6日、テキサス州エルパソ

■写真下:銃乱射事件を受け、トランプ大統領の訪問に抗議する人々=7日、テキサス州エルパソ

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