“The very best”になるために 米国ポケモンオリジナルテーマ歌手 ジェイソン・ペイジ(Weekly LALALA 750号掲載)

「歌で人々勇気づけたい」

“I wanna be the very best like no one ever was”――アメリカ版アニメ『ポケットモンスター』のオリジナル主題歌冒頭の歌詞だ。「アニメファンがコスプレをするのは、自分自身である必要がなくなるからだろう。あこがれのヒーローになりたい、好きなキャラクターになりたい。あるいは、現実社会の自分に満足できない、周囲に馴染めないといった人たちも、コスプレをすれば自分以外のだれかになれる。でも、彼らはとても優れた創造者たちだ。愛と情熱をもってコスチュームに創作力、労力、時間をかける」。米国ポケモンオリジナルテーマ曲を歌うジェイソン・ペイジは言う。「制作会社がアニメを作り、ファンがケーキやお菓子や衣装といったアートを作り、イベントを自分たちで起ち上げてしまう。すべてが人々のイマジネーションによるものであって、会社によるものではないという事実には本当に驚くよね。コミコンもアニメファンによって始まったし、アニメエキスポだってそう。アニメはエコシステムの機能を生み出す」。

8月5~8日にLAで開催されるアニメエキスポでは、5日(木)にLounge21にてSuper Soul Brothersとライブを行う。6日は8~11pmまでTalent for consと、7日(土)は2pmからTOYZILLAとブースを出す。

 米国でポケモンの放送が始まったのは今からちょうど20年前のこと。アニメとともに主題歌もヒットした。しかし歌っている人物についてはほとんど知られていなかった。その素顔が初めて明らかになったのは2年前、ゲーム『ポケモンGO』が市場に出るとペイジが歌う初代ポケモン主題歌の人気に再び火がつき、Spotifyでの再生回数は362%を超えた。この歌をペイジが人前で初披露したのは、同年11月のスタン・リーLAコミコン。18年の時を経て、伝説的テーマソング歌手がファンの前に姿を現した瞬間だった。「それまではこういうコミュニティが存在していることも知らなかったよ(笑)」と言いながら、「失われた時を越えて友人と再会したようだった」と振り返る。ステージ上では昔と変わらぬ歌声で聴衆を熱狂させ、ブースでサインや写真撮影に応じる。この経験を通して「アニメや自分の歌が彼らにとって大きな意味があることを知った」という。「これはただの歌じゃない。一部の人にとっては人生の生き方なんだ。歌詞を通して、最高の自分になることを学び、理解し、成長する」。
 ある家族は親子三代でペイジのブースを訪れた。ポケモンを観て育った両親がピカチュウに扮した子どもを連れ、あこがれだったペイジと会話し祖父母がそれをカメラに収める。「三世代に喜びを与えられるのは本当にうれしいこと」。ある少女はペイジの前でポケモン主題歌を歌いだした。ペイジがそれに加わりアカペラでの合唱が始まり、人々は喝采を送った。今ではその少女はアニソンや日本のポップスをアニメイベントで歌うプロのアーティストになり、ペイジのバックグラウンドシンガーを務める。「アニメによって人は価値を創造する。自分自身を進化させられる。みんなアニメを通して“the very best”な自分になるための方法を探すんだ。僕の歌で、少しでもそういう人たちを勇気づけたいと思いながらいつも歌っているよ」。

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