ジャニーズ事務所は何処に行く

 ジャニーズ事務所の今後を考えてみた。ご存知の通りジャニーズ事務所は男所帯。すべてのタレント、マネージャー、テレビ局やラジオ局に現れるのは全員男性だ。例外は前社長の藤島ジュリー景子さんくらいでは。勿論社内の事務職には女性の方は居ると思うが、今後の新体制でどのような改革案を出してくるのか興味深い。

 ジャニーズと宝塚歌劇団を比べてみた。芸能を志す女性にとっていつの時代も宝塚に入ることは憧れではないか。大変な倍率の試験を突破しても、先ずは宝塚音楽学校で2年間の礼儀作法から始まる。基礎勉強をしなくては歌劇団に入ることは出来ない。入団した後も男役、女役に振り分けられ、そこから宝塚劇場の舞台で踊るまでには大変な道程となる。中には志半ばで諦める方もいるが、私の知る限り、退団した後も誇りを持って、宝塚出身らしく凛として生きている方が多い。例えば、代官山で「マナー教室」を開設したり、港区で「エイジング エステサロン」で頑張っているなど、「元宝塚ブランド」を上手に利用している。それに引き替えと言っては何だが、ジャニーズを志半ばで退団すると、世間では「ジャニーズ崩れ」と呼ばれてしまうこともある。この差って何なんだろう。

 ジャニーズ事務所にとってのタレントの価値観が「売れること」が正義になり過ぎていたのでは。近年、中学生になったばかりの少年からジュニアとして在籍している。しかしやっぱりまだ子供です。有名になりたい一心の子供達です。ジャニーズ事務所とは言え、全員をスターにする事は当然出来ない。ドロップアウトした子のケアーはどうしているのか。

 例えスターになれなくとも、社会人として生きていける人間を育てるシステムを構築しないと。今、事務所は最大の岐路に立っている。「ジャニーズに在籍していた日々を誇りに思える理念」を新社長東山紀之は死に物狂いで考えなくては。テレビ局、ラジオ局も今までのような馴れ合いの付き合いも、忖度ももう出来ない。先ずはジャニー氏によって人生を狂わされた皆さんに一刻も早い謝罪と賠償の手続きをしなくては。社名の変更もして欲しかった。厳しい試練が津波のように次から次へと押し寄せてくることも考えられるが、何と言っても夢を売る世界、東山新社長の真価が問われている。

 それにしても会見での井ノ原快彦(イノッチ)の、記者との飄々として的確なコメント対応は際立っていた。生真面目な新社長とは対象的、会見の唯一の光と感じたのは私だけでは無い。どうだろう、イノッチを広報担当として全面に出すソフト作戦もいいのでは。

 

 

 

■テリー伊藤
演出家。1949年、東京都出身。数々のヒット番組やCMなどを手掛け、現在はテレビやラジオの出演、執筆業などマルチに活躍中。

 

 

 

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