「空手道とは、精神の鍛え、人間としての学び」(4/26/2018)

松濤館流空手道場 範士

藤嶋 廣安|Hiroyasu Fujishima

 空手は琉球王国時代の沖縄で生まれたといわれている日本発祥の武道。第二次世界大戦後に広くアメリカをはじめ世界に普及されていった空手道は、2020年に開催される東京オリンピックの追加種目に正式決定したこともあり、さらに国際化が進む。


 そんな中、ロサンゼルス・ノースリッジに「松濤館流藤嶋道場」がオープンした。この藤嶋道場の範士であり指導を行うのが、世界約140ヵ国・日本国内約130支部、約230万人の会員を数えるなど、世界最大規模を誇る武道組織「国際松濤館 空手道連盟」所属の藤嶋廣安氏だ。


 日本の伝統空手と言われる松濤館流は、近代空手の祖とも言われる船越義珍氏を事実上の開祖とする空手流派である。「蹴りの鋭さやスピードなどが松濤館流の特徴でもありますが、空手道が持つ力やその奥の深さは、無限です。長年この道で精進してきた者でも、多くを学んで技を心得たからこれで終わり、ということはありません。一生修行の道であることを私自身の志としていますし、生徒たちにも伝え続けていることです」


 北海道出身の藤嶋氏は、拓殖大学時代より日本の伝統空手である松濤館流にて修行を行い、1964年に渡米後、1969年よりカリフォルニア州立大学ノースリッジ校でキネシオロジー学科の教授として教鞭を取る傍ら、教育の一環として空手指導にあたり来年で50年となる。

   「もともとノースリッジで道場を構えて空手を教えていましたが、22年前のノースリッジの大地震で道場を失いました。その後は、カルステノースリッジ校でキネシオロジーを教えながら、空手を指導してきました。スポーツサイエンスであるキネシオロジーと武道である空手は、力学的な観点などで関連性がありますから、力に任せてという打撃力だけでなく、スポーツサイエンスを通して学べることも多いのです」


 日本の武道である空手をアメリカや世界に伝えるのは、日本の武道の歴史を伝え、文化を伝えること。決して容易な道ではないが、武道を通して異文化間での友好を深められるという素晴らしさがあると話す藤嶋氏。


 「これまで私は空手を大学の教育の一環として指導してきました。私のもとで学んだ生徒の中には、空手家として巣立っていった人も多いですが、ビジネスの世界で成功を収め、社会的なリーダーとして活躍している人もたくさんいます。空手を通して精神的な強さを培い、礼儀作法を身につけるなど、人間としての成長に繋げられることをこれからも広く伝えていきたいと思っています」。

空手を指導して約50年。「松濤館流藤嶋道場」範士の藤嶋廣安氏。1969年よりノースリッジを拠点に空手道の指導を行い、多数の空手家を輩出。

このほどノースリッジにオープンした藤嶋道場(国際松濤館 空手道連盟)。子どもから大人までが幅広く学ぶ。 818-774-1299 californiakarateassociation@ gmail.com

4/7には藤嶋道場のオープニングセレモニーが行われ、生徒や関係者が見守る中、日本伝統の和太鼓や鏡割りが行われた。

 

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