<連載コラム>〝小さな街〟のスペシャリスト(2)(Weekly LALALA 754号掲載)


サンディエゴ・パドレス 環太平洋オペレーション部長
エーシー 興梠 さん


〝小さな街〟のスペシャリスト(2)


<連載コラム>〝小さな街〟のスペシャリスト(2)
大塚晶文(左)、パク・チャンホ(右)と。オマリー氏とともに移籍したパドレスでは今年4年目になる。

 MLBに携わって30年のエーシー興梠さんは、「球場は小さな街と同じで、各分野のスペシャリストが集まっているのが球団」と言い、国際化の大切さを語る。「日本からMLBが学ぶこともたくさんあります。細かい技術をしっかり教えて、ミスをしない野球を教える。そういうことを日本のコーチはしっかり教える」と語る背景には、ドジャース時代に山下大輔氏(元横浜大洋ホエールズ)をルーキーリーグのコーチとして招へいした実績がある。「日本人のマッサージ師を雇ったり、韓国語しかできないキャッチャーコーチが来ていたり。米国は新しい良いものにすぐ飛びつきます。何人だろうといいものはいい。それがプロの世界」。現在働くパドレスは特に国際的で、そういった試みが今後もメジャーリーグの世界をどんどん広げていくと考える。興梠さんも、韓国、台湾、日本でのスカウティングとリクルーティングを担当し年10回ほど各国を訪れる。子供向け野球教室を開催するなど、アジアに関する業務およびマーケティングのサポートもしており、「アドバイスもするし情報をもらったりもする。
友情関係も築きます。最終的にはすべてパドレスのためになるから」と、球団のためにアジアでの人脈作りに奔走する。スカウティングやリクルーティングは「FAで30球団と競争しているわけだから大変です。一番つらかったのはドジャース時代に獲得できなかったイチロー。獲得に動いていたドジャースとマリナーズで入札で負けたときは、ショックで3日寝込みましたね」と振り返る。「仕事なのでハートが入っているし、これはライフスタイルだと思っている」と、朝5時に起きてナイターまで観戦する生活を送る一方で「いつも遠征や出張で近くにいられないので、家族とのバランスをきちんとしないと」と家族への気遣いも見せる。
 かつてドジャースがそうであったように、パドレスを「アジアで最もインパクトがある球団」にするのが目下の目標だ。アジア出身の選手が在籍というコネクションは、各国での球団人気に直結する。「17歳、18歳の若いアジア選手を連れてきて育て、メジャーで活躍してくれたときは本当に、お金では買えない感情が湧き上がります。選手が引退した後も人間関係は続くし、チームスポーツなので兄弟みたいになる。それもやりがいの一つ」。スペシャリストの一人として、アジアで知名度ある強いチーム作りに励んでいる。

■Acey Kohrogi
日本生まれアメリカ育ち。MLBに携わって30年目の大ベテラン。野球経験はなく、マイナーリーグでの通訳をきっかけに米国野球界に飛び込み、球団経営を勉強しフロント入り。1A、3Aのオーナー代行を経た後はLAドジャースに20年在籍し、オマリー会長(当時)の補佐にはじまり社長秘書、アジアオペレーションスカウティングを務めた。2015年、オマリー氏とともにSDパドレスへ移籍し、環太平洋オペレーション部長として日本、韓国、台湾といったアジアの国でのスカウト活動などを通じて、チームの国際化に貢献している。

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