<新連載>仕事は「優良助っ人」発掘(1)(Weekly LALALA 745号掲載)


株式会社読売巨人軍 ニューヨーク事務所・所長(国際部所属)

塩川哲平さん


仕事は「優良助っ人」発掘(1)


米国マイナーリーグにて宝の発掘、すなわち選手のスカウトをする。

 野球とベースボール、ベースボールと野球。同じ競技でありながらも国民性などによってその性質が大きく変わる興味深いスポーツだ。日本と米国のプレースタイルの違いについては、過去数々の議論が繰り広げられている。現在もなお、ファン、メディアともにその違いについて語ることは多い。しかし未だ野球の本場と言われる米国。その国で、あえて「ベースボール」の世界に身を置き、挑戦する人たちがいる。
 読売巨人軍ニューヨーク事務所の所長を務める塩川哲平さんの仕事は、日本国籍以外の選手、いわゆる「外国人助っ人」を発掘することだ。日本のプロ野球チームでは、彼らの活躍度がチームの好成績につながることが多い。1934年に創立され現存日本プロ野球球団において最も歴史がある巨人だが、外国人選手が活躍しながらもリーグ優勝は2014年、日本一の座は2012年を最後に逃し続けている。しかし、塩川さんによれば「外国人選手が活躍し、勝利に貢献したときの達成感は言葉に表せない」という。
 では、宝の発掘のためには何が必要か。スカウトにはまず、MLBの球団との広いつながりが求められる。「助っ人」である以上、外国人選手は活躍して当然と思われがちだが、すべての条件を兼ね備えた選手が必ず成功するとは限らないのが現実だ。選手自身に、日本文化への対応力、監督やコーチ陣と円滑な関係を築くための人間性、あるいは日本野球を攻略する頭脳など、野球以外の部分における「才能」がなければ成功は難しい。それを見極めるのがスカウトの仕事であるが、選手の発掘から契約まで、時間には限りがある。ライバル球団に奪われるわけにはいかない。予算内で契約にこぎつける必要もある。プレッシャーとの戦いだ。「プレッシャーを打破するには準備が非常に重要。そのため、情報収集と情報の質が鍵を握っています。普段から人間関係を構築する必要があるし、情報が多ければ的確なスカウティングができます」。登録できる外国人選手枠には上限があり、球団は選り抜きの「助っ人」を求める。スカウトは年間を通じて情報収集に勤しみ、条件に当てはまる選手をピックアップする。日本行きを希望していること、日本球団との契約が可能である、つまりフリーエージェントあるいはMLBの球団からの譲渡が可能であることが前提となる。そして代理人と交渉し、契約合意に至る。さらに身体検査や薬物検査にもパスしなければならない。助っ人1人の獲得の裏には、スカウトによる徹底的な調査と尽力が隠されているのである。

■Teppei Shiokawa
13年の海外生活を経て、大学入学のため日本へ帰国。青山学院大学国際政治経済学部卒業後は株式会社住友商事に就職したが、1995年の野茂英雄氏メジャー挑戦に刺激を受け退社を決意、渡米するとLAドジャースで通訳を務めた。その後は福岡ソフトバンクホークス、読売巨人軍で通訳として活躍し、2015年からは同社ニューヨーク事務所所長に就任。主に米国スカウティングオペレーション統括及び渉外担当(外国人選手契約業務)として活動している。

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