“無常のはかなさ”表現 アーティスト 安藤 美夜 さん(Weekly LALALA 754号掲載)

Lancaster Museum of Art and History: MOAHでは『The Cathedral』を9月2日(日)まで展示中。

 これは何だろう。安藤美夜さんの作品にはそう思わされる。どうやって作ったのか、素材は何だろう、表現の奥に見せようとするものは――。思わず作品の前で足を止め、じっと考えさせられる。「『What is it!?』っていう気持ちって、楽しいじゃない?不思議っていう、その気持ちが好きなの」。エキゾチックな外見の雰囲気とは裏腹に、いったん喋りだすと人懐こく明るい雰囲気に惹き込まれる。ロシア系米国人の父と日本人の母を持つLA生まれの岡山育ち。母の実家はお寺だ。“和”に包まれた環境で幼少時代を過ごし、7歳からはサンタクルーズの山の中と岡山を行き来する生活を送った。「日本もアメリカも大好きで、すごくHappyな子どもだった」と振り返る。米国で大学院に進んだが途中で退学し、金継などを勉強するため再び日本へ。「そのときから金属とか金継とかいろいろ勉強して、それを使ったアートを作りたかった」。2001年にはサンフランシスコに移り、2006年以降はNYへ。そして今年3月、生まれ故郷であるLAにアトリエをオープンし、現在はNYとLAを半々で過ごす。
 作品は一連のシリーズになっている。「『たそがれ』っていうシリーズなの。昔の日本語で『だれですか』という意味で、今のことばだと夕方を表す。夕方になって、向こうから歩いてきてる人がいて、『だれだろう?』ってわからなくてちょっとぼんやりとした感じ。その雰囲気とか、夜になりそうな光のグラデーションとかが大好き。一秒一秒はかなくて、ライトが、カラーが、全然違う色になる。“Fleeting time(つかの間)”とか、時間の動きがわかるような感じ」。日本、SF、LA、NY。いずれの地で創った作品も一つのシリーズを成す。「外を見て作っているんじゃなくて、中から出てきてるから作品には創った場所は関係ない」。日米両方の文化や自然を身近に感じる環境で育ったからこそ磨かれた感性だろう。
 コンセプトは時間の動き。「時間て、人の関係って一秒一秒でもう終わるでしょ。それに対して作品を作ってる。すべてのものははかない。だから瞬間、瞬間を表現するために光を使ってる。歩いて、光が変わって、違うアングルで作品を見ると毎回違って見える。その一秒一秒を表すのが一番のコンセプト」。幼少時代を過ごした場所の影響の体現だろうか、このコンセプトは仏教から来ていると説明する。「仏教ではすべてが『Impermanent(無常)』。私たちの人生は時間も物もすべて同じ。ハーフでも日本人でも白人でも、全部がimpermanentだから。その『Awareness(認識)』を与えたい。普通は考えないことでしょう?作品を見て『あっ』て思って、考えて。自然のボキャブラリーを使って人生とかを考えながら『あ、すてきだね』っていうものを、コンテンポラリーなものと昔の伝統的な技術を一緒にして紹介したい。変わってるものを作ってると思う。みんなからよく言われる。でも、アートの世界は何を作ってもOKだから。アメリカは自由だから」。

“無常のはかなさ”表現 アーティスト 安藤 美夜 さん
『Tasogare』。美夜さんの作品の一連のシリーズのタイトルでもある。メタルやガラスを使用した作品には思わず作品の前で足を止めてあれこれ考えをめぐらせられる。

“無常のはかなさ”表現
アーティスト 安藤 美夜 さん

米国生まれ日本育ちの美夜さん。日米のバックグラウンドを活かした作品は不思議なものが多い。公式サイトwww.miyaando.comでは作品の数々や展示会などの情報を見ることができる。
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