松平 健 「暴れん坊将軍」と共に 放送開始から40年

松平 健
「暴れん坊将軍」と共に 放送開始から40年

「お年寄りの健康のためにマツケンサンバがいいと聞いて。みなさんが踊りながら歌える曲を作りたい」と話す松平健

 「余の顔を見忘れたか!」。印籠や桜吹雪に頼る必要はない。「うっ、上様…」。数々の悪党たちを平伏させてきた〝顔〟にはやはり迫力がある。代表作であるテレビ朝日系の時代劇シリーズ「暴れん坊将軍」の放送が始まったのがちょうど40年前。松平健は「共に成長してきた。青春かな」と振り返る。
 紀州藩主から将軍になったばかりの徳川吉宗と、俳優としての新人だった自分とが重なったという。「吉宗が少しずつ江戸の町のことを知っていくように、自分も時代劇の俳優として成長していった」
 日活アクションなどの現代劇が好きだったというが、1974年に、勝新太郎の勝プロダクションに入り、本格的に時代劇と出合う。「暴れん坊―」スタート時に、勝から「私生活がテレビに出る。将軍なんだから、赤ちょうちんで飲むな」とアドバイスされた。教えを守って銀座の高級クラブや京都のお茶屋に。「貯金がなくなりました」

シリーズ第1弾の「吉宗評判記 暴れん坊将軍」より(ⓒ東映)

 撮影で、こだわったのは「峰打ち」での立ち回り。「『美しく、舞うように』が当時の東映の立ち回り。刀の反りが逆になるが、止めずに斬ると決めた」。残酷なシーンにならず、白馬の格好良さも相まって、子どもにも受け入れられた。
 当初は「3カ月」と言われていた番組は長年続く人気シリーズに。「勧善懲悪で、最後にすっきりする。人情があり、笑えて、ときに泣ける。『暴れん坊―』には、全部うまく入っていた」
 きらびやかな衣装と陽気なリズムの「マツケンサンバⅡ」で、2004年にはNHK紅白歌合戦に出場。世代を超えたブームとなったが、「舞台でやっていたので、自分ではギャップとは思っていない。世間にとっては衝撃的だったみたいですが」と笑う。
 「お客さんが喜んでくれるのが一番」と、かぶり物や振り切れたキャラクターを演じることにもためらいはない。15年度から地元・愛知の観光PRキャンペーン「モノスゴ愛知でマツケン(待つ県)」に起用され、県内の観光名所に扮するなど話題に。17年度は「マツケンおじさん」としてコミカルに愛知の産業の魅力を伝える。
 「いろいろできるのは、いつでも戻って来られる『暴れん坊―』という軸があるから」。仮の姿で、江戸の町民と交流する将軍・吉宗そのままに、さまざまなキャラクターをまとい、これからも世の中を楽しませてくれるのだろう。

シェア