映画「グリーンブック」 ピーター・ファレリー 監督(Weekly LALALA 786号掲載)

 

映画「グリーンブック」

ピーター・ファレリー 監督


「現代社会に重なる物語」

映画「グリーンブック」 ピーター・ファレリー 監督
「性格の異なる2人が旅を共にすることで、自然におかしみが生まれてくる」と話すピーター・ファレリー監督

 今年のアカデミー賞で作品、脚本、助演男優の3部門の最優秀賞を獲得した「グリーンブック」は、1960年代の米国を舞台に著名な黒人ピアニストと彼が雇ったイタリア系白人男性が友情を育む人間ドラマ。ピーター・ファレリー監督が思い描いたのは「差別というシリアスな問題を扱いながら、絶望ではなく希望を感じられる映画」だったという。
 天才的ピアニスト、ドン・シャーリー(マハーシャラ・アリ)のドライバーを務めることになったトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)が、演奏旅行の途上で黒人差別の実態を知る。「トランプ大統領が登場し、マイノリティーの人々への抑圧はより激しさを増している。50年以上も前の物語だが、現代の米国の社会状況に重ねられる物語だ」とファレリー監督。
 ベースは実話で、タイトルの「グリーンブック」は、当時使われていた黒人が使える宿やレストランなどを記した旅行ガイドのこと。「白人はもちろん、今は黒人でさえ、その存在を知らない。僕自身、こんな物があったなんて信じられなかった」。物語は人種差別だけでなく、育った環境の違いや経済格差、性的指向が生む分断にも触れ、「多層的な構造」を目指したという。

「グリーンブック」の一場面

 弟のボビーと手掛けた「メリーに首ったけ」などの〝おバカ映画〟で一世を風靡(ふうび)した。今作でも随所にユーモアが盛り込まれ、「友人からは初めてのシリアスドラマなのに、今までで一番笑える映画だったと言われたよ」と話す。
 好きな映画は1970年代の名作「カッコーの巣の上で」。大好きだという「欠損を抱える人間が成長する物語」は今作の主人公2人にも通じる内容となっている。


Weekly LALALA ホームに戻る