日本でグリーン・カードを紛失したら(その2)(Weekly LALALA 738号掲載)

日本でグリーン・カードを紛失したら | 一度も失いたくない財布

●本文に登場するバーです‥‥。
日本におけるグリーンカード再発行の連絡先は、
東京都港区赤坂1-10-5 米国大使館ビザ課 
Tel.:050-5533-2737(日本)、703-520-2233(米)
Email:support-japan@ustraveldocs.com
著者: 柳田由紀子 1963年東京生れ。早大卒後、新潮社入社。98年スタンフォード大他に学ぶ。01年渡米、LA在住。著書に、『二世兵士激戦の記録』(新潮新書)、『アメリカン・スーパー・ダイエット』(文藝春秋)、訳書に『ゼン・オブ・スティーブ・ジョブズ』(集英社Int’l)他。趣味=大相撲、温泉、料理、都はるみ。ブログ=www.yukikoyanagida.com

日本でグリーン・カードを
紛失したら(その2)

 日本でバーを3軒ハシゴした果てに、グリーンカード入りの財布を失くした顛末の続きです。

日本でグリーン・カードを紛失したら(その1)は、こちらからご覧下さい。

親切だった日本の警察

 日本でグリーンカードを紛失した場合、まずは、東京の米大使館か、大阪か那覇の米総領事館を訪ね面接を受ける必要がある。面接時に必要な書類は、「申請料の領収書(575ドル!)」「日本の警察によるグリーンカード紛失の英文証明書」など全8種類。
 この面接をパスすれば、再び大使館か領事館を訪れ、米国再入国用の応急処置的書類、「搭乗箔(Boarding Foil)」を入手することになる(グリーンカード自体の再発行手続きは米再入国後)。
 面接用の必要書類に関し質問があった私は、米大使館ビザ課に電話した。すると、担当者は、「後日、Eメールで回答します」と、極めて事務的かつやや冷淡に答えた。
 一方、警察に英文証明について問い合わせると、若い女性が「英文を書く人材がいないけれど、貴女と一緒にがんばって作成しましょう!」と、大使館とは正反対に親切に励ましてくれた。自業自得とはいえ、打ちひしがれた私が、この方からどれほど慰められたことか。
 面接申請から2日後、意外にも早く大使館から通知が届く。面接日は日本出国の5日前だという。書類に不備があれば出国延期は免れまい。申請料の575ドルに加えて、予約便の変更料が重くのしかかる。あーあ。

既視感のゆくえ

 私は、それからの約3週間を憂鬱に過ごした。
 面接の前日、仕事帰りにトボトボと駅から実家へと歩いていたら、新しくできたバーが目に入った。ガラス越しにバーを眺めながら、「へえ、こんな場所にねえ」と、つぶやいて20歩くらい歩いただろうか。私は、突然の既視感に襲われた。カウンターの女の子に見憶えがあるような。うん? あの夜、3軒目の途中までの記憶はあるのだが‥‥。私ってまさか?
「いいえ、来てないですよ」 と、冷笑されるのを覚悟で、私は踵を返しバーの扉を開けた。とーー。
「待ってました!」
 件の女の子が飛んで来て、懐かしき我が財布を渡してくれたのだった。
 飛び上がるほどうれしかった。だが一方、私はキツネにつままれた思いでもあった。とはいえ、「自分で訊くのもなんですが、私はここに来たのでしょうか?」と、尋ねる勇気はさすがになくて、深々と頭を下げてバーを後にした。
 翌朝一番、大使館に面接キャンセルを連絡。この時点までに、例の質問に関する回答は得られなかった。財布が見つからず、あのまま面接に赴いていたらどうなっていたのだろう? バーにはその後、菓子折りを持ってお礼に行ったが、やはり私には〝自分のことを〟訊く勇気はなかった……。 みなさんも、帰国時の飲み過ぎには注意してネ。
面目ない!( 完)

●JRパス規定が変わり、永住者は使用時に要グリーンカード。つまり失くす機会も増えたのでご用心を。
●日本の警察には感動。お礼を言うと、「そのお気持ちは財布を見つけてくれた方に」。素晴らしい!

●在日米国大使館・領事館HPの「ビザサービス/グリーンカードの紛失または盗難(ボーディングフォイル)」ページは、
https://jp.usembassy.gov/ja/visas-ja/immigrant-visas-ja/green-card-ja/boarding-foil-ja/


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