世界中の“鉄ちゃん”垂涎の 「デュランゴ・シルバートン狭軌鉄道」(コロラド州)(Weekly LALALA 716号掲載)

テキサス・デンバー・ニューオリンズにも配布中!

●「デュランゴ・シルバートン狭軌鉄道」は、米国立歴史ランドマークに指定。デュランゴへはデンバーから車で約6時間、飛行機で約1時間。四季を通じて運行(冬期は一部区間閉鎖)。11月17日〜は、サンタクロースに逢える「ポーラー・エクスプレス」を運行。

世界中の“鉄ちゃん”垂涎の 「デュランゴ・シルバートン狭軌鉄道」(コロラド州)

著者: 柳田由紀子 1963年東京生れ。早大卒後、新潮社入社。98年スタンフォード大他に学ぶ。01年渡米、LA在住。著書『二世兵士激戦の記録』(新潮新書)、『アメリカン・スーパー・ダイエット』(文藝春秋)、訳書『ゼン・オブ・スティーブ・ジョブズ』(集英社Int’l)他。趣味=大相撲、温泉、料理、都はるみ。ブログ=www.yukikoyanagida.com
●蒸気機関車の勇姿。終着駅のシルバートンで。シルバートンは、鉱山黄金期を彷彿させる興味深い街だ。
●一等車にはアテンダントがいて、丁寧な解説をしてくれる。写真は、アテンダントのケイシー・マローさん。

 英語で鉄道マニア、〝鉄ちゃん〟を「フォーマーズ」と呼ぶ。コロラド州南部には、そのフォーマーズが世界中から集まる路線がある。「デュランゴ・シルバートン狭軌鉄道」。蒸気機関車が、高地、デュランゴの街と海抜2800米のシルバートンを結ぶ片道72キロ、3・5時間の絶景ルートだ。
 秋ともなれば山の日の出は遅い。7時半、まだ夜が明けたばかりのデュランゴ駅に佇んでいたら、シューシューと音を立てて蒸気機関車が入って来た。同時に、人々がカメラのシャッターを切る音がこだまする。
〝鉄子〟の私も小躍りして汽車に乗り込むと、平日なのに予約した車両は満席。英語だけでなく、独語や仏語、オージー英語が聴こえてきた。
 終着駅のシルバートン付近で、金銀他の鉱物が発見されたのは19世紀後半。当初はロバや駅馬車で貴金属を運んだが、1882年、デンバー・リオグランデ鉄道が開通し、鉱夫たちと鉱石を輸送する列車として繁栄した。
 20世紀に入り鉱山時代が終焉すると、今度はハリウッドが注目。『明日に向って撃て!』など数多の西部劇の撮影に使用され、今では観光客やフォーマーズ垂涎の路線に成長した。
 世界中の乗客を乗せた汽車はかつてと同様、時速25キロ前後でアニマス川に沿って進む。そして、次第にロッキー山脈の山腹、鉱山地帯に滑り込んで行く。
 それにしても揺れが激しい。その一因は線路の幅が狭い〝狭軌〟であること。そうすることで、鋭角カーブの運行を可能にしたのだ。だから、Ωカーブや断崖絶壁の連続で、先ほどから車内は歓声で溢れている。
 車窓には、遥か下方に美しい翠色のアニマス川や、機関車が描く煙が広がり、渓谷のせせらぎにシュッポッポと汽車の音が重なる。その間に、雪を被り始めた山々や満々と水を湛えた滝ー往復7時間の旅は飽くことなく、私は、感嘆とため息を交互に発し続けた。
 堪能の汽車旅が終わる頃、フォーマーズ垂涎鉄道の名に恥じぬ出来事に遭遇した。ぼーっと車窓を見ていたら、同じ車種ばかり目につく。うん? よくよく見れば、そのドライバー、要所要所で車を停車し望遠レンズで撮影しまくると、猛ダッシュで車に戻り急発進、我々を追い越すとまたスポットに停車して〜を繰り返していたのだ。
 くすくすと笑う私の耳元に、後ろからオージーのつぶやきが聞こえた。 「俺も鉄ちゃんだけど、あれには負けるなあ〜」

Durango & Silverton Narrow Gauge Railroad:479 Main Ave Durango, CO 81301 Tel. 970- 247-2733, 877-872-4607 料金:大人89ドル〜、子ども55ドル〜。予約をお勧めします。www.durangotrain.co

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