下描きのない世界は まさに自己表現(Weekly LALALA 720号掲載)

■吉田 和泉 (よしだ いずみ)
アーティスト

活動DATA:Izumi Yoshida
創立/ 2013年
活動内容/未だほとんど世間に発表はしていないが、オリジナルの絵を数多く描き続けている。
Izumi Yoshida
San Pedro, CA 90732


下描きのない世界は
まさに自己表現


吉田 和泉
アーティスト


 愛知県出身で在米約30年になるという吉田和泉さん。これまでの人生は波乱万丈だったというが、今振り返って思うに、それは良くも悪くも自分の思い出であり、それがあってこそ今の自分があるという。
「アメリカにいること、結婚、離婚もあって、田舎に生まれた自分がここにいること自体、自分らしくないとも思いますが、でもだからこそ今がある」。失敗ではないけれど、人生を半分ほど生きていると様々な経験をするものだ。「天国も地獄も見てきましたが、今は幸せですね。自分が今何を望み、何が必要かがやっとわかってきた気がします。欲もなくなってきました」と笑顔で話す。
 吉田さんにとって、子供たちが巣立ってから始めたのが絵を描くことだった。「私の母も40歳を過ぎてからパッチワークで絵を描き始め、個展を開くほどのアーティストでした。その血があるからかどうかはわかりませんが、私も気がついたら描き始めていたんです」
 吉田さんの絵は、初期は具象的なものが多かったが、現在は抽象というか、幾何学的なものが多い。一見花に見えたりするが、非常に細かく緻密な絵だ。「下描きはしません。出来上がりの予想図もないんです。1日で描き上げるものはまだいいですが、数日になると、描き始めた時の気持ちも忘れ、今描いている自分が出来上がりを決めることになるんです」。

どこに行く時も必ずスケッチブックは持参して、閃けばどこでも描くという吉田和泉さん。「時間があればいつでも。夜寝れない時も。子供たちが家を出て行って心に穴が開いたようでしたが、絵を描くことが少しはその穴を埋めてくれているかもしれません。これからは人の支えとなり喜んでもらえる生き方がしたいですね」
●繊細な模様が積み重なったような吉田さんの不思議な絵の世界。「何を描こうと思って描くのではなく、描いている自分が絵に表れてくるんです」。まさに自然体で生きる吉田さんを具現化したような絵とも言えるが「貧乏性なので、じっとしていられないんです」とも笑う。
●「4年ほど前から描き始めました。私は自分に自信がなかったので、周囲の方から絵を褒めていただくと不思議な気持ちです。でも今思うに、いろいろあった人生を超えてきて、やっと自然体になれた自分を表現できたのがこの絵だったのかもしれません」