「個人のニーズにあったシニアケアを」(Weekly LALALA 736号掲載)

ロサンゼルスで暮らす人々-vol.736

番外編 in サンディエゴ

「個人のニーズにあったシニアケアを」
磯 聖子|Seiko Iso

ロサンゼルスで暮らす人々   オハナ・ケアホーム 主宰

サンディエゴ市近郊でシニアケアホームOhanaCareHomeを運営する磯聖子さん。Ohanaはハワイの言葉で『家族』を意味し、老後を温かい家族のいるような環境で迎えて欲しいと願って名付けた。 ウェブサイト www.ohanacarehomesd.com フェイスブックでは居住者の生活を垣間見ることができる。 www.facebook.com/ohanacarehome/

 米国のベビーブーム世代が高齢者となり、その配偶者として渡米した日本人も年を取り、近年サンディエゴで晩年を迎える日本人及び日系人の高齢者が増えている。しかし日本語の通じない環境の施設で暮らし、孤立して寂しい思いをしている高齢者の方も多い。そこで磯聖子さんは、夫と共にサンディエゴ市近郊の自宅を改造し、小規模な高齢者向け居住施設「Ohana Care Home」を昨年立ち上げた。施設の定員は6名。身の回りの世話をすることが難しい高齢者を居住させ、日本食を作り、日本語で話しかける。心のサポートや日本人にあった娯楽を行うなど、小さなホームだからこそできる個人のニーズにあったケアをしている。「人が好き」という磯さんにはこの仕事がふさわしいようだが、ここにたどり着くまでには様々な経緯があった。
 磯さんがサンディエゴを訪れたのは高校卒業後、グロスモントカレッジに留学するためだった。コンピューターサイエンスを専攻し、卒業後はOPTでテキサス州のコンピューター会社で働いた。しかしコンピューターよりビジネスに興味が湧き、サンディエゴ州立大学に編入したが資金が尽きて日本に帰国。それから大手自動車会社に6年間勤務し資金を貯めて再渡米し、卒業した。その後友人に誘われて高齢者の自宅を訪問するアルバイトをしたのがこのホームを作るきっかけとなった。
   「おしゃべりをしたり、料理を持っていったり、自分の好きなことをすることで相手に喜んでもらえた。介護しているはずの私が、実は癒されて楽しんでいたのです。自分と同じようにアメリカに来て、この地で最後を迎える日本人がいることを知り、大学で学んだビジネスの知識を生かして起業しようと思いました」
 別の施設で孤立して毎日ベッドで寝てばかりだった人が、このホームに来て簡単な家事手伝いができるようになり、喋るようになった。居住者やその家族に感謝されることが何よりのやりがいだという。
 先日、一人の高齢者がこのホームで最期を迎えた。「亡くなったことを悲しむよりも、『最後まで最善を尽くしてお世話ができてよかった、安らかな眠りにつけてよかった』とポジティブに考えるようにしています」
 この人の人生の最後をどうお手伝いできるのか、スタッフとともに日々考えながらお世話をしているという磯さん。現在のスタッフなしでは今の温かいホームはなかったと話す。今は介護と経営をしている磯さんだが、経営が軌道に乗ったら運営管理に徹して、居住者の家族とのコミュニケーションを強化したいという。「またこのケアホームの需要があれば拠点を増やしたい。サンディエゴのアジア人コミュニティに私たちの仕事が貢献できればと思っています」。

施設で家族のように過ごす入居者とスタッフ。(右端が磯さん)

自宅のようにくつろげる施設内部。

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