アメリカでの戦い方。日系企業の未来 リーダー論 LALALAイベントレポート Vol.2(Weekly LALALA 781号掲載)

本田直之が選んだビジネスの達人たちと語る アメリカでの戦い方。日系企業の未来 リーダー論- 2

LALALAイベントレポート Vol.1

Weekly LALALA主催イベント「リーダー論 本田直之が選んだビジネスの達人たちと語るアメリカでの戦い方。日系企業の未来」が1月18日、ロサンゼルスで開催されました。レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役兼CEOの本田直之氏がモデレーターを務め、アメリカで活躍するビジネスの達人たちがパネリストとして登場、本田氏と1対1でトークを展開。ビジネスパーソンをはじめとした100人以上が聞き入りました。パネリストは、毘沙門グループ代表取締役・甲山貴明氏、MIW Marketing & Consulting Group, Inc. President / CEO・岩瀬昌美氏、株式会社LDH JAPAN 代表取締役COO / LDH USA INC. 代表取締役CEO・森 広貴氏。LALALAでは3週にわたり、同イベントについて掲載。2週目の今回は岩瀬昌美氏との対談です。

本田直之 × 岩瀬昌美
「アメリカの社会構造からみる
        マルチカルチュラル系マーケティング」


モデレーターを務めたレバレッジコンサルティング株式会社代表取締役兼CEO・本田直之氏

本田 岩瀬さんは、長年アジア系マーケティングを手掛けておられますが、このアメリカでビジネスを成功させる上で、ターゲットをはじめとしたビジネスのポイントってどんなところだと思われますか?

岩瀬 本日この会場にいらっしゃる皆さんの中にもアメリカで物を売るにはどうしたらいいかを考えておられる方が多いと思いますが、それにはどういう人たちをターゲットにして売っていくかの見極めがとても大切です。アメリカは数十年前と現在とではぜんぜん違っていて、社会構造をピラミッドグラフでいうと、今アメリカはトップ1%の人たちが国全体の43%の富を持っているんです。そしてボトム80%の人が7%の富しかもっていなくて、今までのミドルクラス層がいなくなりつつある構造になっています。シアーズの倒産をニュースで知った方も多いと思いますが、例えば、シアーズでスパチュラが7ドルで売られているとして、同じような質のスパチュラが99セントショップで売られていたとしたら、先ほどの80%の人たちは99セントショップで買うでしょう。ミドルクラス層という人たちがいた時代と同じやり方では、もう物が売れない時代になっているんです。

本田 格差がものすごく開いていますが、中流層はどこに消えてしまったんでしょう。

岩瀬 中流層がいないんですよね。というかこのボトム80%に入ってしまった。

本田 マーケティングの視点から考えて、そんな社会構造の中で、特にどんな人たちをターゲットにするのが有効だと思われますか。

MIW Marketing & Consulting Group, Inc. President / CEO・岩瀬昌美氏

岩瀬 今、ターゲット層とするなら狙い目は、中国系の富裕層といえるでしょう。教育の面でいうと、USCの年間の授業料が5万5千ドルですが、中国人の留学生が5千人もいるんです。そんな若い彼らがLAダウンタウン周辺でも高級日本食レストランでカウンターに座って食事をしているわけですから、ビジネスターゲットとしてはとても有望です。
それと、私が食育活動に従事してきてわかったことなんですけれど、食べ物って子どもの頃から食べ慣れているものだったら大人になっても普通食として受け入れられますが、子どもの頃から食べ慣れていないものを大人になってから食べろといわれたら抵抗もあると思います。特にアメリカ人にとって刺身などの生ものを子どもの頃から食べていない人も多いから、ビジネスの会食で刺身を食べろと言われたら食べれないという人もいるでしょう。どこの家庭のお母さんたちも体によくて子どもが美味しいというものであれば買うだろうし、作りもします。皆さんの商品がエキゾチックなものでなく普通食になれば、物は売れるんじゃないかなと考えます。

本田 誰に売れば物が売れるか、まずはターゲットを絞り込むことが大事というわけですね。じゃあそこにどうやって売り込んでいくかですが、普通に広告を打っても反応が出るかどうかもわからない。例えば、コネクションを作ることってどうでしょう。

岩瀬 そう、〝word of mouth(口コミ)〟もマーケティングの上で大切です。私がこのお店は美味しいよって友人を連れていってあげたら、その人が「初めて食べたけど、世の中にこんな美味しいものがあったんだ」と感動して、今度はまた自分の家族を連れていくっていう口コミで広めていくのも大きい宣伝効果になります。

本田 インサイダーになるってことですよね。世界のレストランランキングに「The World’s 50 Best Restaurants」と「OAD(OpinionatedAbout Dining)」というのがあって、OADは全米、ヨーロッパ、アジアは100位まであり、世界中食べ歩いているフーディーたちが投票しています。ワールドベスト50というのは、ある意味メディアの露出が多いランキングで、選ばれたジャーナリストとか一部のフーディたちが投票を行っています。OADは、誰でも投票できるのですが、その面白いところはフーディーのネットワークがあって、フェイスブック上には300人ほどの世界中を食べ歩いているフーディのネットワークもあり、ここで常に情報交換がされている。日本のレストランの情報も飛び交っているんですけど、日本に住む日本人より詳しい。世界中飛び回って食べている人たちの中に入ってわかるのは、広告はまったく通用しなくてマーケティングも通用しない。結局インサイダーに入って、そこの口コミにのるかのらないかということ。ぜんぜん世の中に知られてないような店でもそこに情報が出るといきなりどんな広告よりも効果があって流行る。で、そのランキングが出るとまたそれでお客さんが世界中からやってくる。そんなのを見ていると、インサイダーとかネットワークとかといったものがこれからはとっても大事なんじゃないかなとも思います。

岩瀬 今の時代、情報があふれ返っているから、信頼できる人からの情報じゃないと信じない。マス広告も読者の人から信頼できるメディアになる必要がもっともっと重要になってくると思います。


次回は、株式会社LDH JAPAN 代表取締役COO / LDH USA INC. 代表取締役CEO・森広貴氏が登場します。


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