アメリカでの戦い方。日系企業の未来 リーダー論 LALALAイベントレポート Vol.1(Weekly LALALA 780号掲載)

本田直之が選んだビジネスの達人たちと語る アメリカでの戦い方。日系企業の未来 リーダー論

LALALAイベントレポート Vol.1

WeeklyLALALA主催イベント「リーダー論 本田直之が選んだビジネスの達人たちと語るアメリカでの戦い方。日系企業の未来」が1月18日、ロサンゼルスで開催されました。ららら連載でもお馴染み、レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役兼CEOの本田直之氏がモデレーターを務め、アメリカで活躍するビジネスの達人たちがパネリストとして登場、本田氏と1対1でトークを展開。ビジネスパーソンをはじめとした100人以上が聞き入りました。パネリストは、毘沙門グループ代表取締役・甲山貴明氏、MIW Marketing & Consulting Group, Inc. President / CEO・岩瀬昌美氏、株式会社LDH JAPAN 代表取締役COO / LDH USA INC. 代表取締役CEO・森 広貴氏。LALALAでは3週にわたり、同イベントについてお伝えします。

本田直之 × 甲山貴明
「変わらぬ美味しさを 追求するために、味の進化を図る」


本田 日本で難しいのは価格を上げると、高いと言われてお客さんが離れてしまう。値段を上げた時にお客さんが離れないようにするためにはどのような努力をされていますか?

甲山 アメリカでは、エンターテイメント性がけっこう重視されます。日本の場合は、料理の味の点で評価が高ければお客さんに足を運んでもらえる可能性が高いですが、アメリカの場合は味だけではなくサービスも含めて総合的なことで判断されることが多いと思います。

本田 レストランでのエンターテイメントといわれると、どういうことですか?

甲山 サービスもエンターテイメントの一つ。ただ料理を提供するだけでなく、お客さんが気持ちよく食事できるサービスを第一に考えています。

本田 そうなると今度はまた社員教育が重要になってきますよね。

甲山 日本の場合は、会社でしっかりとマニュアルが作られていて、それに沿って社員教育が行われます。アメリカではもっと臨機応変にアドリブ的な形でやっていくのが受け入れられるんじゃないかと思います。

モデレーターを務めたレバレッジコンサルティング株式会社代表取締役兼CEO・本田直之氏

本田 教育プラス、その人の個性が大事になってきますよね。また個性が引き出されるためには、社員一人ひとりがのびのびと楽しみながら働けること。楽しさややりがいを感じていたら自然と笑顔になるし、それがお客さんにも伝わります。

甲山 楽しさは、社員それぞれ違うと思いますが、アメリカはチップ制度もありますから、良いサービスを提供してお客さんが満足すれば利益にも反映されることがやりがいの一つと考える人もいるでしょう。それと社内でのコミュニケーション。人間関係がうまくいっていないと楽しい職場環境とはいえないので、その部分は特に気を付けています。確かにメールでもLINEでも社内伝達がスピーディにできる便利な時代ですが、できるだけミーティングを持って、ちゃんと顔を合わせて話す機会を持つようにしています。

本田 現在では15店舗を展開しておられますが、そこまで店舗を増やすことができたきっかけは何かあったんですか?1軒目からいきなり急成長したとか?

毘沙門グループ代表取締役・甲山貴明氏

甲山 いえ、そんなことはないんです。現在いろんな業態のレストランを運営していて、グループ店のスタートは25年前(1993年)にコビナ市で始めた毘沙門という寿司屋でした。そこから2軒目の店舗としてリトル東京にラーメン店をオープン。ラーメン店の数も増えましたが、店舗が増えてもオープン当初から変わらず実践していることがあります。それは、長年足を運んでくださっているお客さんも初めてのお客さんも含めて、まったく変わらない美味しさだねと言っていただくために、どんどん味を進化させていることです。味の改善ですね。特にアメリカでラーメン自体のレベルが今と10年前とでは格段に上がっています。食材も豊富になっていますし、日本からラーメン店の方々がどんどんアメリカに進出して来られています。ラーメンの認知度が上がってお客さんの嗜好が変わってきています。もし15年前に美味しいと言われることに満足してそこで止まってしまっていたら、時代についてこられなかったと思います。

本田 日本でもラーメンブームが起こった時には、ラーメン店がすごい行列を作っていました。今では行列のなくなった店もあるし、お客さんがほとんど入っていない店だってある。日々の進化って大事だなと思いますね。ラーメンに近いのが日本酒業界の状況です。一般的に日本酒って、何十年も働いている杜氏(とうじ)が日本酒を造るものだというイメージがあると思います。もともと日本酒造りに関わっているのは、蔵元という人がいて、杜氏はお酒を造るために雇われている人たち。酒蔵に入って長年の修行を経て杜氏になって、基本的には冬だけの仕事なので冬だけ出稼ぎで杜氏として酒蔵で働いて何十年、というのが普通でした。そんな日本酒業界も90年くらいから下降して日本酒の売り上げがどんどん落ちていて今も落ち続けています。そんな中、蔵元杜氏(くらもととうじ)といわれる若い世代の人たちが始めた日本酒の蔵というのがすごく伸びていて、多くの人が彼らが造る日本酒を買うようになっている。それはなぜかというと、蔵元の子どもたちが自分たちの世代でも美味しいと思うお酒を造りたいというようになったんです。当然のこと年配の杜氏の人たちには反対されるわけだから、じゃあ自分たちでやってみようと。若い人たちは長年の経験やそこからの勘なんてない。それが無いぶんきちんと数値管理をしてロジカルに作っていたら素晴らしいお酒が完成して、今また日本酒が売れるようになった。

甲山 世の中の人たちの味覚が変わってきたことも大きい。今と2、30年前とではぜんぜん違う。日本酒もラーメンも嗜好品で、嗜好品を楽しむ人たちの味覚のレベルとか、普段食べている食事も変わっています。

本田 そうですね。新しい日本酒造りに乗り出した若い人たちは、いいものを食べていて味覚がしっかりとしている。その味覚に合わせて作ったお酒が今またこうして世の中の人たちに支持されている。ラーメンも、日本酒もその時代に合わせてアップデートさせることは大切なことですね。


次回は、MIW Marketing & Consulting Group, Inc. President / CEO・岩瀬昌美氏が登場します。


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