「追求に終わりのないメイクの世界」(Weekly LALALA 719号掲載)

「追求に終わりのないメイクの世界」
渡邊栄子|Eiko Watanabe

ロサンゼルスで暮らす人々   メイクアップアーティスト

ロサンゼルスを拠点に活動するヘアメイクアップアーティスト、渡邊栄子さん。日本で約10年、ファッションや美容業界で、ヘアメイクアップアーティストとして活動。現在、LAではウェブCMやミュージックビデオなどのほか、ホラー映画の特殊メイクまで手掛ける。 www.eikowatanabe.com

 ヘアメイクといえば、ハリウッド映画やテレビの撮影用、ファッション、美容など「美」に絡めたメイクがまず頭に浮かんでくるが、メイクアップアーティストとしてロサンゼルスを拠点に活動する渡邊栄子さんは、それらに加えて特殊メイクのアーティストとしても活動の幅を広げている。本人曰く、メイク技術を追求し続けるパッションや培ってきた経験を、ファッションやエンターテイメントなど多様な現場で生かすには、このロサンゼルスは最高の場所なのだという。
 LAに渡って、シネマメイクアップスクールで特殊メイク技術を習得し、映像系を中心としながら本格始動して約1年。ウェブコマーシャルやフィルム制作のメイクアップのほか、ここ最近ではホラームービーのモンスターを作る特殊メイクやミュージックビデオ制作のメイクアップなど幅広く手掛けている。「日本では約10年ほど美容やファッションのメイクアップの現場で仕事をしてきましたが、LAでは特殊メイクもどんどんやっていきたいと思っています。得意なのは、アザや血みどろの顔を作るメイクに、髪の毛のある人を丸坊主に見せるメイク、若者を老人に変身させたり、エアブラシを使用したタトゥーアートなど。完璧なリアルメイクを作り上げるのが、作品作りの楽しさですね」。CG加工など全くしていない、血なまぐささやおどろおどろしさ溢れるモンスターメイクが渡邊さんの作品アルバムに並ぶ。
 メイクアップの道を歩み始めたのは20代半ばのころ。日本でビューティースクールの受付として勤務していたが、ある時ヘアメイクセミナーのヘアメイクを担当したのがはじまり。「セミナーに参加された生徒さんから『ぜひヘアメイク講座を開催してほしい』という依頼があったんです。無料でメイクレッスンをしてみたところ、受講した生徒さんが初めは自分に自信がなかったり、何かのトラウマでオシャレに抵抗があったのが、私のメイクレッスンを受けるにつれ、どんどん前向きになっていきました。彼女たちが『もっとキレイになりたい』とポジティブに輝いていくのを見て、メイクってこんなに人を幸せにする力があるんだということを知りました」
 その後、嶋田ちあきメイクアップアカデミーを卒業し、メイクアップアーティスト糸川智文・木下庸子に弟子入り後、母校のメイクアップアカデミー常任講師として指導を行いながら、広告やテレビやファッションショーなどのメイクを多数手掛けた。
 新境地LAで新たなスタートを切ったばかりの渡邊さん。「様々な人種や国の文化が入り混じり、様々なエンターテイメントが生まれるこのロサンゼルスで、ヘアメイクを通じて自由に表現していきたい。そこからさらに世界へと夢を広げていけたらと思っています」。

「アメリカと比べて日本のメイクのトレンドの移り変わりは早いです。そこに対応してきた技術力をアメリカでも生かしていきたいですね」(写真モデル:吉松育美)
ファッションのトレンドメイクからビューティ、特殊メイクに至るまで、メイクの追求には終わりがないと話す。

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