「空を駆ける救急車、ドクターヘリ」(Weekly LALALA 704号掲載)

番外編 in デンバー

「空を駆ける救急車、ドクターヘリ」
 佐賀 信寛|Nobuhiro Saga

ロサンゼルスで暮らす人々   EMSヘリコプターパイロット

今年5月よりデンバーを拠点に、EMS(救急医療)ヘリコプターのパイロットとして活動する佐賀信寛さん。出動要請がかかると、ヘリに乗り込み、看護師やパラメディックと共に傷病者のもとへ飛ぶ。

 「大空を飛ぶ仕事」と「人を救う仕事」。その二つに関わる仕事に就きたいという夢を抱き、実現した日本人がいる。デンバーを拠点にEMS(救急医療)ヘリコプターのパイロットとして活動する佐賀信寛さんだ。
 日本ではドクターヘリとも呼ばれる救急医療用ヘリコプターは、看護師またはパラメディックが搭乗して速やかに傷病者のいる場所に行き、ヘリに装備した機器や搭載した医薬品を用いて傷病者に対し当該場所や機内で必要な処置を行うと同時に、傷病者を医療機関などに搬送する、いわゆる空を飛ぶ救急車の役割を持つヘリコプター。佐賀さんは5月より、この救急医療用ヘリのパイロットとしてデンバーを本社として医療搬送サービスを提供するエアーライフ・デンバー社で勤務を開始したばかり。「私が配属されている街ヒューゴは、デンバーから南東に車で約1時間半の場所にあるとても小さな街。先日は、この街にある小規模の病院からデンバー市内の医療設備の整った大病院に病人を搬送するヘリを操縦しました。業務で多いのは病院から病院への搬送のほか、交通事故による怪我人や、農場での農業器具による怪我人の搬送など。特に事故による怪我人の救急搬送では、怪我人のいる場所を割り出し、着陸地点を定めて確保するために現場の消防署員たちと無線でやり取りしながら操縦をする高い技術が求められます」
 ロサンゼルスで生まれ育った佐賀さん。「子どもの頃からヘリや飛行機が好きで、よく母親がサンタモニカ空港に連れて行ってくれたんです。LAでは警察のパトロール用ヘリなどもよく目にしますので、そんな光景を見ながら自分も空を飛ぶ仕事をしたいと思い、ヘリパイロットの勉強を始めました。ヘリコプターは滑走路なしで離着陸ができますので、飛行機が着陸できない所へも着陸できる、人命救助に向いている点で興味を持ちました」
 ヘリのフライトトレーニングを受けてコマーシャルライセンスを取得後は教官を務め、2015年から2年ほどラスベガスに在住し、ラスベガスからグランドキャニオンまでの観光ヘリのパイロットとして活動した。
 今春に救急医療用ヘリのパイロットの仕事に就くと同時に、家族とデンバーに移住。7日間勤務、7日間休暇の隔週の出勤。勤務日はヘリのレジストレーションの確認や機体のチェックを入念に行い、出動要請が出るまでベースで待機。出動要請がかかるとヘリに乗り込んで操縦を行う。「長年ヘリの操縦経験を積んできて、その技術を生かして人の命を救う重大な任務であり、大きな責任があります。救急医療用ヘリのパイロットの仕事は、自分にとって天職だと思っていますが、これがゴールではなく、さらにスキルアップや経験を重ねて、大きなチャレンジを続けていきたいと思っています」。

夜の出動では、暗闇の中でも安全に飛行できるようナイトビジョンゴーグル(NVG)の装着を義務付けられている。NVGは軍隊でも使われており、視界が制限されるため特別なフライトトレーニングを要する。
勤務では、ヘリコプターの機体のチェックや気候のチェックを行い、常に出動要請に備えて待機。休暇の日には家族とゆったりと過ごす。「今春、家族と共にラスベガスからデンバーに引っ越したばかり。夏にはコロラドの大自然を家族で楽しみたいですね」

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