「火花」 原作に負けない熱量(Weekly LALALA 720号掲載)

「火花」 
原作に負けない熱量

映画「火花」より

 売れない若手芸人を題材にした又吉直樹の芥川賞受賞作「火花」を映画化。お笑い芸人としてデビューし、多方面で活躍する板尾創路が監督を務め、菅田将暉と桐谷健太が主役2人を演じた。
 お笑いコンビ「スパークス」の徳永(菅田)は、営業先の花火大会で「あほんだら」という奇抜なコンビ名の漫才を見て衝撃を受ける。ボケ担当の神谷(桐谷)が、ステージから観客や通行人を指さし、ひたすら「地獄」と連呼しているのだ。
 その晩、飲みの席で徳永は神谷に弟子入りを願い出る。笑いを模索し、あがき続ける中、スパークスはテレビに出始め、徐々に知られるように。一方、信念を曲げず、周囲とうまく折り合いをつけられない神谷はある日、姿を消してしまう…。
 売れることを夢見ながら、理想と現実のギャップを冷酷に突きつけられる日々。いら立ちや不安、嘆きに満ちた青春ドラマの熱こそが、原作の魅力だとしたら、本作も負けず劣らず発している。
 なんてったって、菅田も桐谷もエネルギーを爆発させる俳優。熱量は申し分なく、しかも、ちゃんとやるせなさや切なさがにじみ出ている。
 徳永の相方、山下にはお笑いコンビ「2丁拳銃」の川谷修士を、神谷の相方、大林には元お笑い芸人の俳優三浦誠己を起用。ボケを大きな笑いへと変換するツッコミ役にプロを充て、漫才シーンに締まりが出ている。
 絶妙なキャスティングと、笑いを熟知する監督の熱いけど、くどすぎない巧みな演出。それだけに、主題歌に「煮込みしかない~♪」とビートたけしの「浅草キッド」(菅田と桐谷がカバー)が流れたときは、あまりにベタで、こけそうになった。2時間1分。

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