「映画作りの面白さは、 固定観念裏切る意外性」(Weekly LALALA 707号掲載)

「映画作りの面白さは、固定観念裏切る意外性」
深田 祐輔|Yuske Fukada

ロサンゼルスで暮らす人々   映画製作者

昨年、南カリフォルニア大学の映画・テレビ制作学科修士課程を卒業し、ネットフリックスのオリジナル番組のプロデュースや、映画のサウンドデザインや映像編集を手掛ける深田祐輔さん。

 ハリウッド映画界で活躍するクリエイターを多く輩出するUSC(南カリフォルニア大学)のフィルムスクール。同校を昨年卒業した深田祐輔さんもハリウッドをはじめグローバルに活動する若きフィルムメーカーの一人だ。
 深田さんが卒業後すぐに携わったのが俳優シルヴェスター・スタローン氏がエグゼクティブプロデューサーを務める、ネットフリックスのオリジナルインターネット番組『アルティメット・ビーストマスター』。世界6ヵ国から集結したトップアスリートたちが過酷で巨大な障害物が待ち受ける超難関コースに挑むこのリアリティショーは、米国版のほか日本版を含めた各国版がリリースされており、深田さんは同番組のプロデューサーを務めた。「自分が手掛けたのは日本版の統括と、米国版で放映される日本のパートのプロデュース。日本人競技者へのインタビューの編集や取材コーディネート、番組の面白さを追求するクリエイティブ面にも関わることができました」
 現在、自身の作品である短編SF映画『パーフェクト・ワールド』が完成に近づき、またこれまで培った最新テクノロジーを駆使しての映画作りを展開するなど、プロフェッショナルとしての作品作りに臨むべくスタートを切った深田さん。ハリウッドをはじめ映画業界で盛んに議論となっている「多様性」についてこう語る。「今現在、自分が企画しているのが、日系アメリカ人のストーリーをテーマとした作品です。作品を作る上でこれまで見過ごされていた歴史や人々の暮らしを自分なりの視点から見つめ直し、『日本とは?日本人とは』を追求したり、自分自身のアイデンティティを再構築する中で、『多様な社会における、多様な日本人像』を探求していきたいと思っています」
 そんな深田さんのルーツについて聞いてみた。京都は太秦出身。実家近くには『東映太秦映画村』があり、映画は身近な存在だった。「初めて映画を撮ったのは高校の文化祭。学校に使ってないカメラがあったので、それを使って映画を作ってみようと。脚本を書いて、撮影・編集して、アナログな環境を駆使しての映画作り。それが全ての始まりですね」
 大学時代には交換留学でフランスに渡った。ドイツとの国境近くにあるストラスブールの大学で美学を学びながら、街のミニシアターに入りびたり、ありとあらゆる映画を観て学ぶと同時にフランス語を習得。フランス留学生活を経て、5年前にUSCに入学、映像編集やサウンドデザインなどの技術を極めた。
「映画作りの面白さは、作品を作っている過程の中で、『物事ってこうなんじゃないか』という自分の固定観念をいい意味で裏切るような出来事が起きたり、その考えを超えるような何かに出会ったりすることですね。そんな偶然性や意外性が映画制作にはあふれていると思うんです」。

現在制作中である自身の短編SF映画『パーフェクト・ワールド』は、「データ社会の人間選別」という重いテーマを最新のテクノロジーを用いて作品化。USCが誇るサウンドステージにて最新システムDolby ATMOSを用いてサウンドミックスを行う。
フランス留学で身に付けた哲学やフランス語力、USCで培った技術力やクリエイティブ面を合わせて、今後の映画制作に生かしたいと話す。

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