「ろうけつ染めを通して伝える思い」(Weekly LALALA 726号掲載)

「ろうけつ染めを通して伝える思い」
嵯峨 正江|Masae Saga

ロサンゼルスで暮らす人々   ろうけつ染め作家・ 講師

ロサンゼルスを拠点に、50年以上にわたり、ろうけつ染めの作家、指導者としてろうけつ染めの周知に尽力する嵯峨正江さん。ろうけつ染め教室も開講。クラススケジュール:毎週水・木・土10am~12pm。問合せ http://sagamasae.web.fc2.com/index.html/

 インドを発祥地とし、奈良時代に日本に伝来してから1300年の伝統を持ち、奈良の正倉院宝物や京都の京友禅などでみられる染色技法「ろうけつ染め」。ロサンゼルス在住、半世紀以上にもわたってろうけつ染め作家・講師として活動してきた嵯峨正江さんも、その染色の絢爛さに魅せられた一人だ。「ろうけつ染めは、蝋(ろう)で防染するので、ろうけつ染めと申します。蝋は熱すれば液状となり、筆につけて描いたり、印捺によって防染がはたせるのです。何も描かれていない白布から始まり、デザインを描き、布に蝋をのせ、染料を塗るなど、20以上もの工程を経て染め上げていくろうけつ染めは、忍耐のいる手仕事ではありますが、その色彩の美しさは驚くべきものがあります」
 佐賀県生まれ。10代でろうけつ染めに出会い、染めもの独特の色彩に魅せられたという嵯峨さんは地元の芸術学校で学び、1960年代初期より日本で作家として活動開始。68年にサンフランシスコで開催された日本文化を紹介するコンベンションに招へいされ、ろうけつ染めを紹介。この渡米以降はLAに移り、長年リトル東京をはじめLA周辺でろうけつ染展を続けるほか、他州での作品展示や実演、南カリフォルニア大学で講師やミネソタ州グスタバスアドルフ大学より日米交換教授として招へいされるなど、作家活動や指導を行い、ろうけつ染めの周知に尽力する。
 そんな嵯峨さんがこれまで多く描いてきたのが、ひまわりをモチーフにした作品。「もう30年以上にもなります。当時、私は離婚して3人の子どもを抱えるシングルマザーになり、不安な日々を過ごしていました。そんな時、住宅街を運転していたらとある家の垣根から、それはそれは大きなひまわりが顔を覗かせていたんです。驚いた私はその家の主にお願いして、ひまわりを描かせてもらいました。描きながら、このひまわりのようにこれから一生懸命、堂々と強く生きていこうと心に決めました」。嵯峨さんが描いた数々のひまわりの作品には、精神のフリーダムや、ウーマンリブ、21世紀の夜明け、人の絆、世代交代など様々なテーマやメッセージが込められている。
 素材と技法が渾然相和し、作品に妙味が醸し出されることが、ろうけつ染めの醍醐味だと話す嵯峨さん。「染色技術を心得るのが前提ですが、大切なのは作品を通して自分が何を伝えたいか。芸術とは感度の伝達。心でとらえて、練って生み出されたのが自分以外の誰のものでもないオリジナルの作品となります。生き方、考え方の広さを養わないと奥行のある作品を作り出すことはできない。人生は勉強。作品作りには終わりはないと思っています」。

ろうけつ染めで数々のひまわりの作品を描いてきた。左の写真は、オリジナルの作品で作られたカード。
1/13(土)までトーランスのレキサスホールでろうけつ染展を開催中。場所:24777 Crenshaw Bl. Torrance CA 90505

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